スマホ時代のココロ術

SNSで隣の芝生が青く見える? 比べちゃう心を軽くする方法

Tags: SNS疲れ, 比較, 承認欲求, メンタルヘルス, デジタルウェルビーイング

SNS、見ていると疲れる時がありますか?

スマホを開けば、友達や知り合いの投稿がタイムラインに流れてきますね。楽しそうな写真、充実した日常の報告、成功体験の共有など、みんなの「良いところ」がたくさん見られます。

それを見ていると、「みんな輝いているのに、自分はなんて普通なんだろう」「もっと頑張らなきゃ」「なんで自分だけこんな感じなんだろう」と、なんだか落ち込んでしまうことはありませんか。まるで、他人の「隣の芝生」ばかりが青く見えて、自分の場所が色あせて見えてしまうような感覚です。

どうして私たちは、つい他人と比べてしまい、そして比べてしまうと疲れてしまうのでしょうか。今回は、そんな「比べちゃう心」を少しでも軽くするための考え方やヒントを探ってみましょう。

なぜ比べてしまうと疲れるの? SNSの「見え方」の秘密

私たちは普段、学校や家での何気ない日常を送っています。でも、SNSに投稿される内容は、その日常の中で特に良かったこと、楽しかった瞬間、おしゃれをした時の姿など、言わば「特別な瞬間」や「最高の状態」を切り取ったものが多くなりがちです。

例えば、旅行に行った時の素敵な景色、友達とパーティーではしゃいでいる様子、テストで良い点が取れたことなど、普段の生活のほんの一部分、しかも良い部分だけを見せていることが多いのです。

それに対して、私たちは自分の日常全体、つまり「線」で生活しています。良いこともあれば、嫌なこと、うまくいかないこと、何も特別なことがない退屈な時間もあります。

SNSで他人の「点」(最高の瞬間)と自分の「線」(日常全体)を比べてしまうと、どうしても自分の日常が色あせて見えたり、「自分には足りない」と感じてしまったりします。相手の裏側にある努力や悩み、普通の日常は見えないのに、見えている「最高」の部分だけを自分と比べてしまうから、疲れてしまうのです。

「比べない」ための心のヒント

「比べない」というのは、なかなか難しいかもしれません。人間は自然と、周りと自分を比べて自分の立ち位置を確認しようとする生き物だからです。でも、その「比べる」ことで自分が辛くなってしまうのであれば、少し心の持ち方を変えてみることで、楽になることがあります。

いくつかのヒントをご紹介します。

ヒント1:SNSを「エンタメ」として見てみる

SNSは、ある意味でみんなが自分自身をプロデュースする「エンターテイメント」の場所だと考えてみましょう。流れてくる投稿は、友達という名の「パフォーマー」が作る「作品」や「ショー」のようなものかもしれません。

素敵な写真や楽しい投稿は、その人が見せたい、共有したいと思った一部です。それを見て、「わあ、楽しそうだな」「綺麗だな」と純粋に楽しむ。それはまるで、映画やドラマを見て感動したり、楽しんだりするのと同じ感覚です。そこに映っているのが「真実の全て」ではないことを理解していると、必要以上に自分と比較して落ち込むことが減ります。

ヒント2:自分の「良い」を探す練習をする

他人の素敵なところや持っているものを探すのは得意でも、自分の良いところや、自分が持っているものには意外と気づきにくいものです。

今日あった良かったこと、自分が少し頑張ったこと、当たり前だと思っていたけれど実は恵まれていること(美味しいご飯が食べられた、ゆっくりお風呂に入れた、友達と少し話せたなど)、自分の好きなところや得意なことなど、意識して自分の「良い」を探してみましょう。

大きなことではなくても大丈夫です。小さな「良い」に気づく練習をすることで、他人の投稿にばかり目を向けるのではなく、自分の足元にある幸せや価値に気づけるようになります。

ヒント3:物理的に距離を置いてみる

比べることで疲れてしまうなら、少しSNSから離れてみるのも大切な方法です。

SNSは便利なツールですが、四六時中接続している必要はありません。意識的に「オフライン」の時間を作ることで、心にゆとりが生まれます。

ヒント4:「いいね」やフォロワー数はあなたの価値ではない

SNSでの評価基準になりがちな「いいね」の数やフォロワー数。これらの数字が気になってしまう気持ち、よく分かります。でも、あなたの価値は、これらの数字では測れません。

たくさんの「いいね」がつかなくても、あなたが「これ良いな」「楽しいな」と感じたこと、誰か一人にでも伝わったこと、それが素晴らしいことです。数字はあくまで目安の一つであり、あなたの魅力や能力、人柄の全てを表すものではありません。

あなたが自分自身を大切にし、「自分はこれで良いんだ」と思えることの方が、ずっと重要です。

自分らしい心の状態を大切に

他人と比べて落ち込んでしまうのは、特別なことではありません。多くの人が経験することです。大切なのは、比べてしまう自分を責めるのではなく、「あ、今比べてて辛くなってるな」と気づいて、少し立ち止まってみることです。

そして、今回ご紹介したような、少しだけ視点を変えてみたり、自分自身の良いところに目を向けたり、SNSとの距離を調整してみたりといったヒントを、できる範囲で試してみてください。

SNSは、上手に使えば世界を広げたり、人との繋がりを感じたりできる素敵なツールです。でも、それに振り回されて心が疲れてしまってはもったいないですね。

あなたはあなたのペースで大丈夫です。比べることから少し離れて、自分らしい心の状態を大切にしながら、SNSと付き合っていきましょう。