SNSで感じる「瞬間的なすごい」に振り回されない心の整え方
SNSの「瞬間的なすごい」に心がざわつくことはありませんか
SNSを見ていると、友達やインフルエンサーの投稿に「たくさんのいいねがついている」「バズっている」「再生回数がすごい」といった、瞬間的に注目を集めているものを見かけることがあると思います。自分でも、投稿に良い反応があると嬉しくなる、というのは自然なことです。
でも、こうした「瞬間的なすごい」に触れるたびに、なんだか心がざわついたり、落ち込んだり、自分もそうならなきゃと焦ってしまったりすることはありませんか。SNSは楽しいけれど、こうした瞬間的な「すごい」に心を振り回されてしまうと、疲れてしまうこともあります。
この記事では、なぜ私たちはSNSの瞬間的な「すごい」に心が動きやすいのか、そして、それに振り回されずに自分らしく心穏やかに過ごすための心の整え方についてお話しします。
なぜ私たちは「瞬間的なすごい」に惹きつけられるのか
人間には、誰かに認められたい、良い評価を得たいという「承認欲求」が自然と備わっています。SNSでの「いいね」やコメント、再生回数といった反応は、この承認欲求を満たしてくれる一つの形です。
私たちの脳は、こうした予測できないタイミングでやってくる報酬(通知やポジティブな反応)に対して、ドーパミンという物質を放出し、快感や高揚感を感じやすいという性質があるといわれています。これは、新しい情報やチャンスに気づきやすくするための、人間の仕組みの一つです。
SNSは、この仕組みが働きやすいように作られています。スクロールするたびに新しい情報が現れ、いつ「いいね」が来るか分からない。この予測不能な報酬の仕組みが、私たちをSNSに惹きつけ、瞬間的な「すごい」を追いかけたくなる気持ちにさせるのです。
「瞬間的なすごい」を追いかけることの落とし穴
瞬間的な「すごい」を求める気持ちは、時にモチベーションにつながることもあります。しかし、そればかりに囚われてしまうと、いくつかの落とし穴があります。
一つは、疲労感です。常に注目を集めることや、周りの「すごい」と自分を比べることにエネルギーを使い果たしてしまいます。
また、一時的な高揚感の後に、満たされない気持ちや空虚感が残ることもあります。数字や他人の評価といった外側の基準ばかりを気にしていると、本当の自分の価値や、自分が心から好きなことを見失ってしまうことにつながりかねません。
さらに、周りの「すごい」投稿を見て、「自分はなんて平凡なんだろう」「もっと頑張らなきゃ」と落ち込んだり、焦りを感じたりすることもあるでしょう。これは、SNSで見えているものが、その人の生活のほんの一部分や、特別な瞬間を切り取ったものであることを見落としてしまう時に起こりやすい感情です。
「瞬間的なすごい」に振り回されないための心の整え方
では、こうした「瞬間的なすごい」に心を支配されずに、自分らしくいるためにはどうすれば良いのでしょうか。いくつかの心の整え方があります。
「すごい」の定義を広げてみる
SNSで「すごい」とされがちなのは、多くの人の注目を集めることかもしれません。でも、あなたの日常の中にも「すごい」はたくさんあります。例えば、あなたが夢中になっている趣味の時間、友達と心から笑い合った瞬間、新しい知識を得た時のひらめき、自分で決めた目標を達成した小さな一歩などです。
「すごい」の基準を、数字や他人の評価だけでなく、自分の心の動きや、自分にとって大切な価値観に広げてみましょう。そうすることで、SNSの「瞬間的なすごい」だけに囚われず、自分の日常にある豊かさに気づけるようになります。
デジタルな刺激の「音量」を調整する
スマホの通知は、まさに瞬間的な「すごい」への扉のようなものです。通知が来るたびに心がざわつき、集中力が途切れることもあります。すべての通知に応答する必要はありません。
本当に大切な連絡以外の通知をオフにする、特定のアプリからの通知を制限するといった方法で、デジタルな刺激の「音量」を意識的に調整してみてはいかがでしょうか。こうすることで、SNSに意識を奪われる回数を減らし、自分の目の前のことや、自分の内面に意識を向けやすくなります。
自分の中の「すごい」を見つける練習をする
他人の「すごい」を探すのではなく、自分の中の「すごい」に目を向ける練習をしてみましょう。今日一日で「これ、ちょっと頑張ったな」「これはうまくいったな」「これ、楽しかったな」と感じることは何だったでしょうか。
大きなことでなくて良いのです。例えば、朝いつもより早く起きられた、苦手な勉強を15分頑張った、友達の話をじっくり聞けた、美味しいものを食べて幸せを感じたなど、どんな小さなことでも構いません。自分の内側にある「すごい」に意識的に目を向けることで、他人の評価に頼らなくても、自分の中に確かな価値があることに気づけるようになります。
SNSの「瞬間」から離れてみる時間を作る
常にSNSの「瞬間」に触れていると、心が休まる暇がありません。意識的にスマホから離れる時間を作ることも大切です。例えば、「寝る前の1時間はスマホを見ない」「食事中はスマホをテーブルに置かない」「友達といる時はスマホをカバンに入れておく」など、自分にとって心地よいデジタルとの距離感を見つけてみましょう。
デジタルから離れることで、リアルな世界での五感を通した体験や、自分の内側の声に気づきやすくなります。
自分のペースを大切にする
SNSで見かける「すごい」は、その人の努力や背景、タイミングなど、様々な要素が重なって生まれたものです。そして、それはあくまでその人のペースで起こったことです。
自分には自分のペースがあります。他の人の「すごい」を見て焦る必要はありません。自分自身の成長や変化に目を向け、過去の自分と比べてどうだろうか、自分は今何を感じているだろうか、といった内側の基準を大切にしましょう。自分のペースを認め、大切にすることで、心が落ち着き、ブレにくくなります。
まとめ
SNSで瞬間的な「すごい」に心が惹きつけられるのは、ある意味で自然なことです。しかし、それに振り回されすぎてしまうと、心が疲れてしまったり、自分を見失いそうになったりすることがあります。
大切なのは、SNSの「瞬間的なすごい」も楽しみつつ、それに心を支配されないように、自分らしい心の状態を保つことです。「すごい」の定義を広げ、デジタルな刺激の「音量」を調整し、自分の中の「すごい」を見つけ、時にはデジタルから離れる時間を持つこと。そして何より、自分自身のペースを大切にすることです。
これらの心の整え方が、あなたのSNSライフをより心地よく、そして自分らしく過ごすためのヒントになれば嬉しいです。あなたは、あなたのままで十分素晴らしい存在です。